対物賠償保険の無制限とは?保険料は高くなる?

自動車保険には対物賠償保険という保険があります。
これは事故の相手の財物に損害を与えてしまったときに使う保険です。

どの金額まで補償が受けられるようにするのかは、自分で決めることができます。

保険に加入する人の多くは対物賠償を「無制限」にしています。

いったい無制限とは何なのでしょうか?また、無制限にすると保険料はどれくらい高くなるのでしょうか?

対物賠償の「無制限」が意味するものとは?

さて、対物賠償保険の「無制限」とは、支払われる金額に制限を設けないということを意味します。

つまり、相手に損害を与えた金額のすべて(全額)が、対物賠償保険によって支払われるということです。

無制限が選べるということは、それ以外にも自分で選ぶことができます。一般的に、対物賠償保険は以下の金額から自分で選択をします。

  • ・1000万円
  • ・5000万円
  • ・無制限

1000万円を選んだ場合について見てみましょう。たとえば相手の損害額が1億円になった場合、対物賠償からは1000万円しか支払われません。残りの9000万円は自分で負担しなければなりません。

実際、対物賠償は賠償金が高額になることが多く、1000万円では足りないケースがたびたび発生しています。

認定損害額判決年月賠償の対象
2億6,135万円平成6年7月積荷(呉服・洋服・毛皮)
1億3,580万円平成8年7月店舗(パチンコ店)
1億2,037万円昭和55年7月電車・線路・家屋
1億1347万円平成10年10月電車
6124万円平成12年6月積荷

対物賠償保険の「無制限」は本当に”上限なし”なのか?

無制限という言葉から連想されるのは、天井なしでどこまでも広がるイメージですよね。

対人賠償保険で無制限ということは、10億円でも20億円でも、相手の財物は全額補償されるようにも思えます。

しかし、じつは対物賠償保険の無制限とは、文字通りの無制限ではありません。上限があります。キーワードは「時価額」です。

対物賠償は「時価を上限に」無制限

対物賠償保険の無制限とは、損害を与えた財物(たとえば相手の車)の「時価」をもとに計算されます。

時価とは、いまその時点の価値のこと。

たとえば、車を200万円で購入します。そのときの時価は200万円です。その後、車に乗っていると車の価値はどんどん下がっていきます。

中古車の査定に出したとき、新車価格の200万円では売れませんよね。それは時価が下がっていくからです。

5年も経てば、車の時価が30〜50万円くらいに下がっているでしょう。

このように、車をはじめとする財物は時間とともに価値が下がっていきます。対物賠償の損害額を計算するときも、この時価が適用されます。

話をもどしましょう。対物賠償は「時価を上限に」無制限の補償です。つまり、200万円の車の時価である30〜50万円までしか補償は受けられません。

時価30万円の車なのに、修理代が50万円かかってしまった!

事故を起こした相手の車は、時価30万円だったにもかからわらず、修理代が50万円になってしまいました。

あなたに全過失がある(0対10)場合、あなたは相手から修理代50万円を請求されることになるでしょう。

しかし、対物賠償の上限は時価の30万円ですから、差額の20万円は自腹で負担しなければいけないのです。

これが対物賠償保険の「無制限」です。いくら無制限とはいえ、時価を超えた金額は支払われないというカラクリがあります。

ちなみに、加害者が補償すべきなのはあくまでも時価額です。時価を超えた分は、必ず補償する必要はありません。
ですが、実際は示談するためにも加害者が超過分を負担しなければいけないケースが多いのです。

時価を超えた金額を補償する特約がある

時価を超えた金額が20万円程度であればなんとかなるかもしれません。
しかし、それでも自分で負担をするのは金銭的にも精神的にもつらいものです。

そんなとき頼りになるのが、「対物超過修理費用補償特約」という特約です。

これは、時価を超えた金額を補償してくれる特約で、自己負担なく保険金で賠償金を払うことができます。

保険会社によって条件はことなりますが、たとえばイーデザイン損保の対物超過修理費用補償特約は最大50万円の時価超過分を払ってくれます。

対物超過修理費用補償特約とは

ちなみに対物超過修理費用補償特約をセットしても、年間保険料は数百円程度しかアップしません。

対物賠償保険を充実させることもできるため、メリットの大きい特約といえるでしょう。

対物賠償保険を無制限にすると保険料が高くなる?

保険料を少しでも安くしたい人にとって、対物賠償保険の無制限は悩みどころかもしれません。

なぜなら、無制限に補償されるだけあって、保険料がアップするからです。

しかし、じつは対物賠償を無制限にしても大幅に上がることはありません。

わたしが実際に見積もりをとってみところ、対物賠償保険を無制限だと約1,000円の保険料アップとなりました。

保険会社や加入条件によって保険料がどれくらい高くなるかは変わってきますが、いずれにしても対物賠償を無制限にしたからといって劇的に保険料が上がることはありません。

冷静に考えてみれば、わずか1,000円程度の値上がりで対物賠償を無制限にできるメリットは大きいでしょう。多額の賠償金を自分で背負うよりは、よほどマシです。

対物賠償保険は自動車保険のなかでも対場人賠償保険と並んで最も重要な補償の1つです。

加入するときには、必ず対物賠償保険は無制限を選ぶようにしましょう。

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